抽象思考の庭
人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか (新潮新書)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/03/15
- メディア: 新書
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本のタイトルは「人間はいろいろな問題について〜」ですが、
著者は「抽象思考の庭」というタイトルがふさわしいと思っているそうですし、私もそちらの方がこの本の内容に適していると考えます。
(しかも「人間は〜」のタイトルは長過ぎて覚えらない。研修で紹介する時にメモ見ないと思い出せないという不具合(?)も抱えています^^:)
「わかりやすい説明力養成研修」でお伝えしているポイントに
- 具体と抽象をバランスよく取り入れた筋を組み立てる
というものがあります。
「鳥の目」と「蟻の目」とも表現しますが、
- 俯瞰的な内容(上位概念、抽象的表現)=鳥
- 個別的な内容(下位概念、具体的事例やエピソード)=蟻
のどちらも含んだ話が、いわゆる「わかりやすい説明」と言われます。
上位概念で体系化された枠組みを示すと、
聞き手は全体像が掴めるので
「わかった(つもりの場合もあるが)」と感じます。
しかし、抽象的な表現ばかりでは、
「具体性に欠ける」
「机上の空論」
「人間味が感じられない」
などのケチをつけられやすくなります。
また、具体的なエピソードや事例は、聞き手の感情を揺さぶりやすいので
「共感」「心に響く」などの反応につながります。
しかし、個別的な表現ばかりでは、
「だから何がいいたいの?」
「話がまとまっていない」
「視野が狭い」
などの評価につながりやすくなります。
私が担当する研修では、この「具体」と「抽象」の勘所は重点ポイントとして時間を割いて丁寧にお伝えしています。
そして、あわせてこの本を紹介しています。
この記事に書いた内容について、
「あまりピンと来ない」という方には
標題の本を一読していただきたいと思います。
超個人的な余談ですが、私とこの著者は生月日(年は除く)が同じです。もひとつ余談をすると、フィギュアスケートの羽生氏も同じ生月日(年は除く)で、このお二方については他の人よりも興味を持ってウォッチしています。
本との出会い方
「今日の研修を受けて、本を読もうと思ったのですが、何を読んだらいいですか?」
研修終了時によくいただく質問です。
これまで読書習慣のなかった方が、読書をしようと思って下さることは、講師として素直に「嬉しいな」と感じられることです。
本を読み慣れると、「次に読みたい本」「次に読むべき本」は自ずと湧いてくるもので、正直な答えは「自分が読みたいと思った本を読みましょう」になります。
しかし、読書初心者の方にはその”自ずと湧いてくる”的なものがないので、迷う気持ち(そして「何を読んだら・・・」と問う気持ち)もわかります。
「次に読む本」はどこからやってくるのか?
それは概ね以下のようなルートではないでしょうか。
- 既に読んだ本の中で、引用や紹介されている本
- 「面白い」と思った本の著者の別の本
- 他者の紹介
- Amazonの紹介
- 書店での出会い
- 図書館での出会い
読書初心者さんには、1. と 2. と 4. がありません。
本を読み慣れると1. や 2. で読みたい本が連鎖的に見つかることが多々あります。
4.はAmazonで本を購入する人に限りますが、メールでお勧めの本を紹介してくれたり(これで時々「おおっ!」と思う本を見つけることがあります)、「買おうかな〜どうしようかな〜」と本を検索している画面の下方に表示されている”関連書籍”に興味深い本を見つけることもあります。
3.は研修終了後に講師にお勧めの本を聞く行動もあてはまりますし、友人や家族、職場の人などから情報収集してみるのも良いと思います。世間(マスコミ等)のクチコミよりも、あなたが直に接する人の声の方が、より響きやすいのではないでしょうか。
5. と 6. は、読者初心者にもベテランにも共通する入り口です。
書店や図書館で本を探しているときに、目当ての本ではないものが目に留まることがよくあります。書店の一角で平積みにされていたり、ちょっとした特集コーナーに置いてあったり、図書館の本棚で何故か「ふと」目に留まったり。意外と「今、読むべき本」「今わたしに必要な情報」が「向こうからやってくる」ということはよく起こります。
読んでみて面白いこともあれば、そうでないこともありますが、そうやって「自分で見つけて自分で消化していく」過程で「読書力」が身に付くような気がします。
いろいろと書きましたが、「とにかくどこから始めたらいいのか全くわかりません」という読者初心者さんにお勧めするのは、
- 図書館に行ってみる
- 本屋に行ってみる
まず1歩踏み出してみると、道は続いて現れるものです。
・・・踏み出しても道が見つからない場合は、このブログで紹介した本を読んでみてください^^;
プレゼンの肝ー枝葉でない部分
先の記事で、「プレゼンのノウハウ:枝葉に相当する」本を紹介しましたが、
枝葉ではない部分、つまり幹や根に相当する部分の内容を学びたい方にはこちらがお勧めです。
「間」の取り方など、枝葉に相当する内容もありますが、この本のベースはもっと根元の話です。
講談師という、パワポや資料なし「話術」だけで人を楽しませる道を究めた方の伝える言葉に「力」と「異業種にも通じる普遍的な要素」を感じます。
言いたいことは1分で
ホウレンソウ(報告・連絡・相談)がパッとしない方にもお勧め。
簡潔に伝えるためのノウハウが掲載されています。
この本で扱われているのは枝葉のノウハウなので、
「幅広い層」に「すぐに使える」ものだと思います。
枝葉は枝葉で必要だと思うので、一読の価値はあるのではないでしょうか。
読書で振り返る2014年
年末になると、1年の読書を振り返って整理しています。
印象に残っている本、影響を受けた本などを抽出し、
以下のような形式でまとめます。
1月から12月まで1ヶ月ごとに5冊程度を選びます。
平均して1ヶ月に15冊以上は読んでいるので、
リスト(読書メモを簡単に残しています)を眺めながら
「ああ、こんな本も読んだなぁ」
「この本はこの時はとても刺激を受けたなぁ
(でも今は興味ないなぁ)」
など、あれこれと記憶を辿りながら、1年を振り返っています。
自分の興味の変遷や、今の気持ちとの差を感じるのも楽しいですし、この表に載せられなかった本についても再考することができるのでお勧めです。
これを始めて3年目ですが、2年前(2012年)のリストを今見ると今の自分の嗜好(思考?)とのギャップに驚きを感じる部分もあったりします。
この補講(ブログ)の読み方
よく研修の受講者から
「お勧めの本を教えてください」
とリクエストをいただきます。
私個人はこれまでに多くの本を読んできていますし、
今も年間200冊以上のペースで様々な本を読んでいます。
その都度、
その方にとって最良と思われるものをいくつか提案していますが、
後で「あぁ〜、あの方にはこの本をお勧めすれば良かった・・・」
と思い出すことが幾度となくありました。
そこで、このブログにお勧めの本や情報をまとめることにしました。
ここに掲載している情報は、
社会人(社員、職員etc)研修を受講した(する)方々向けの
- 研修の理解をより深めるもの
- 研修内容からレベルアップする next one
- 今後の学び(鍛錬)に役立つもの
がメインです。
紹介はしますが、批評はしません。
「良い」「悪い」などの判断は含んでおりません。
また、人によってその本が「合う」「合わない」の感覚も違います。
「良薬口に苦し」の場合もあるでしょうし、
「喉が渇いていないときの水」のようなケースもあるかもしれません。
それでも、これがひとつの参考となれば幸いです。